店先に設置されている焼き芋自販機=出雲市姫原町、おいしさ工房ふるかわ
店先に設置されている焼き芋自販機=出雲市姫原町、おいしさ工房ふるかわ

 出雲市内に「焼き芋の自動販売機」が登場し、話題になっているらしい。焼き芋といえば、ひと昔前は「石焼~き芋~」とスピーカーで宣伝しながら、車で売り歩くか、最近ではスーパーの出入り口付近に置かれた焼き芋機で売られているイメージが強く、自販機から焼き芋が出てくる様子はちょっと想像できない。一体どのように出てくるのか?味はどうか?値段は? いろいろ気になる。自動販売機で、実際に購入してみた。(Sデジ編集部・宍道香穂)

 

 焼き芋の自動販売機を設置したのは、仕出し・弁当製造店「おいしさ工房ふるかわ」(出雲市姫原町)の正面玄関横。
 自販機はオレンジ色を基調とした温かみのある色合いで、レトロな雰囲気を感じるデザイン。気になる価格はレギュラーサイズ500円、ハーフサイズ400円。長さ20センチほどで食べやすいサイズの焼き芋が、レギュラーサイズには3本、ハーフサイズには2本入っている。

レトロな色合いや焼き芋屋のおじさんのイラストにほっこり

出てきたのは筒型の缶!「冷たい焼き芋」も

 硬貨を入れてボタンを押すと、筒形の缶が出てきた。ふたを開けると、焼き芋が真空パックに入っていて、缶から取り出す仕組み。缶は自販機横のボックスに返却する。真空バックの封をさっそく開けてみると、しっとりと柔らかい焼き芋が登場した。

 缶に入っているため、出てくる時の衝撃で芋がつぶれてしまうことなく、ふっくらとした状態がキープされている。なるほど! 工夫されている。味はどんな感じだろうか。食感はかなりしっとりとしていて、一般的な焼き芋のホクホクとした食感とは異なる。「ほー、別の質感で勝負するのか」。ここにも工夫、アイデアがある。温かい焼き芋と冷たい焼き芋を選べるようになっている。温かいを選んでみたが、自動販売機のホットの缶より少しぬるめの感じで、手の平に温かみが伝わってくる。

「ほっこりあったか」「ひえひえつめたい」の文字がかわいらしい

 食べてみると、びっくり! 驚くほど甘い。まるでスイートポテトのようで、砂糖やシロップを加えているのかと思ってしまいそうだが、使用しているのはサツマイモのみ。九州各県産の「紅はるか」を使用し、低温での保存や40日間の熟成により、糖度40度もの甘さを引き出している。ちなみに冷たい焼き芋は、これが冷えた状態。真夏によく売れたという。

新聞紙風デザインの真空パックに焼き芋が入っている

ゆくゆくは西浜いもを?

 焼き芋自販機は障害者の雇用促進や所得向上を目指す農福産業(宮崎県日向市)が製造・設置しており、理念に賛同したふるかわの古川雅巳社長(53)が店先へ設置した。古川社長は「経済界の集まりで農福産業の社長に会い、『焼き芋自販機事業をやっていて、その焼き芋がとても甘くておいしいんですよ』と聞いて。理念への共感に加え、おいしい焼き芋と聞いて気になって、自販機の設置を決めました」と、経緯を説明。中国地方では初の設置となった。「ゆくゆくは西浜いもなど地元のイモも使用できたら」と古川社長。イモの栽培や特産品化に取り組む農家も増えている。地元産のイモが、自動販売機に並ぶ日も近いかもしれない。どんな美味しさになるのだろう。面白いし、楽しみだ。

おいしさ工房ふるかわの古川雅巳社長

 購入した客からは「おいしくてリピート購入している」「冷めてもおいしく食べられた」「スイーツ代わりに食べられてうれしい」といった声が寄せられ、人気がうかがえる。取材時にも、テレビ放送で焼き芋自販機の存在を知った夫婦(出雲市在住)が自販機を訪れ、「冷たいのと温かいのを合わせて4個買った。家族で食べる」とうれしそうに話した。焼き芋は小さな子どもからお年寄りまで、幅広い層に人気があり、真空パック入りで保存が可能なのは、よく考えられていると思った。古川社長は「凍らせてもおいしいし、温かい焼き芋にアイスクリームを乗せてもおいしそうですね」とアレンジ例を教えてくれた。

 近年は軽食や生鮮食品、スイーツ、コーヒー豆など、自販機の中身がバラエティー豊かになっている。新型コロナ禍で、人との接触を避けられる点も後押ししているのかもしれない。だんだん秋の気配になってきて、焼き芋の美味しい季節がやってくる。今年は家族や友人との話題作りに、自販機で購入した焼き芋を食べるのもおもしろそうだ。