8月27日の「ジェラートの日」に合わせて、<上>では島根県内の2店舗のジェラートを紹介した。後編も引き続き、山陰両県で楽しめるこだわりのジェラートを紹介する。(Sデジ編集部・宍道香穂)
▷pa cherry.b(パッチェリービー)=鳥取県南部町市山
鳥取県南部町の山あいにあるジェラート専門店「pa cherry.b(パッチェリービー)」では、ジェラートの本場イタリアのコンテストで入賞した益村千代代表によるジェラートを楽しめる。店は米子市中心部から車で約15分、南下した場所にある。
地元産の果物や野菜を材料にしたジェラートを販売し、日替わりで10種類のフレーバーを用意する。価格はSサイズ(2種類)が400円、Mサイズ(3種類)が500円、Lサイズ(7種類)が750円。

定番で人気があるのは大山乳業の「白バラ牛乳」を使用したクリーミーな「大山プレミアムミルク」。ジェラートの定番、ピスタチオ味も人気。製菓用に加工されたピスタチオペーストではなくイタリア・シチリア島産のピスタチオの実を仕入れ、焙煎や加工も一貫して手掛けているため、ピスタチオ本来の味をダイレクトに感じられるという。
今の時期はブルーベリーや梨、スイカ、スモモ、トマトなどを使った夏を感じるジェラートが並ぶ。さらにミョウガや大葉といった旬の野菜のジェラートも販売している。果物のジェラートはよく目にするが、トマトやミョウガなど野菜のジェラートは珍しい。
提供するジェラートは新鮮さにこだわり、すべて販売当日の朝に作っている。提携する近隣農家で採れた果物や野菜を使用しているため、日によって商品のラインアップが大きく異なるという。どんなジェラートがあるのか、お店に行ってみてのお楽しみというワクワク感がある。

定番の「大山プレミアムミルク」と南部町産のブルーベリーを使った「ブルーベリーヨーグルト」を食べてみた。プレミアムミルクのジェラートは濃厚で、牛乳のうまみや優しい甘みを感じる。ソフトクリームとシャーベットを掛け合わせたような、ジェラート特有の食感とひんやり感が楽しい。
ブルーベリーミルクはブルーベリーの酸味と甘みにヨーグルトの濃厚な味わいが、ぴったりマッチしている。新鮮な素材を使っているからか、ブルーベリーの爽やかな風味がふわりと広がり、夏を感じる。旬の素材を使うことで季節を感じられるのもジェラートの魅力だと感じた。
益村代表は「私たちは近くの農家で収穫される完熟の果物などを使うため、鮮度を重視している」と、ジェラートへのこだわりを話した。また、同じ作物でも生育状況や天候、収穫した日によって味が異なるため「同じフレーバーでも日によって味が変わるのが面白さの一つ。ワクワクしながら食べてもらい、味の違いを楽しんでほしい」と、手作りのスイーツならではの魅力を紹介してくれた。
営業時間は午前10時~午後5時。祝日を除く月、火曜日が定休日。
▷桃翠園(出雲市斐川町上直江)
1907年の創業で煎茶や抹茶を製造、販売する桃翠園は「出雲抹茶ジェラート」を販売している。ジェラートはオンラインショップ限定で注文を受け付け、店舗ではジェラートと同じ抹茶を使用した「抹茶テリーヌ」や各種抹茶、煎茶などを販売する。店舗はショッピングセンター・ゆめタウン斐川の近くで、国道9号線から北に入った場所にある。

抹茶ジェラートは100ミリリットル5個入りで3240円。「お茶に重きを置いたジェラートを」と、最上級抹茶「出雲抹茶」を使用する。出雲抹茶は市内の計12ヘクタールの茶畑で採れる茶葉を原料にして生産する。抹茶ジェラートは濃さ、香りの良さ、うまみ、いずれも高く評価され、贈り物として人気という。
ジェラート全体のうち10パーセントを抹茶が占め、濃厚な味わいを楽しめる。抹茶スイーツマニアの客から「初めて満足のいく抹茶スイーツに出会えた」との声が届くなど、抹茶専門店ならではのこだわりが人気を得ている。

出雲抹茶ジェラートを食べてみた。口に入れた瞬間、濃厚でガツンとした抹茶の味を感じて驚いた。これまでに食べた抹茶アイスやソフトクリームと比べると、相当に濃い味わい。甘みと苦みのバランスがちょうど良く、抹茶の香りもしっかりと感じられる。抹茶スイーツのファンが満足するのもうなずける。
岡大樹社長は「抹茶の味が濃く出る分、ジェラートに使用する牛乳も抹茶に負けない濃い味わいのものを使っている」と、こだわりを話した。ジェラートに使用する牛乳は島根県邑南町の生産者の濃厚な生乳。ストレスの少ない放牧状態で飼育された牛からとれる牛乳は味が濃く高品質で、濃厚な抹茶と混ぜても味がかき消されないという。
営業時間は午前9時半~午後6時半。定休日は土、日、祝日。

新鮮さを追求したり、素材のおいしさを最大限に引き出したり、原材料の品質にこだわったりと、どのジェラートも工夫が詰まっていると感じた。新鮮なジェラートをその場で味わったり、お世話になっている人のプレゼントとして贈ったりと、さまざまな楽しみ方ができそう。朝や夜は涼しくなってきたが、まだまだ暑さが残る季節。ひんやりとおいしいジェラートで、厳しい残暑を楽しく乗り切りたい。