島根県隠岐の島町では6日早朝から潮位が上がり、西郷地区で道路の冠水や建物への浸水被害が相次いだ。周辺の住民は「ここまで水が高くなったのは初めてだ」と驚き、浸水を防ぐ対応に追われた。
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町危機管理室によると、高潮による住宅などの床下浸水は同町港町、西町、加茂、西田で計10件。けが人はいなかった。
朝から台風11号の強い南風と高波が西郷港に押し寄せ、満潮(午前9時5分)にも重なった。住宅街を流れる近くの八尾川は海水が逆流。下流域では水が岸壁を越え、排水溝や用水路の中からあふれ出した。
松江地方気象台によると、午前9時31分には西郷で潮位85センチを観測し、2004年8月に台風の影響で観測した83センチを超え、過去最高となった。
流域では住民や消防団が玄関口に土のうを積んで少しでも浸水を防ごうと力を合わせた。同町西町の男性漁師(65)は「ここまで潮位が高くなったのは、記憶がある中で初めて。温暖化が影響しているのか」と話し、護岸整備や川底のしゅんせつを求める声も聞かれた。
西郷湾の最深部にある同町西田の磯郵便局は、近くにある複数の用水路を逆流した海水があふれ、局舎全体がくるぶしほどの水位で水浸しとなった。
午前5時半に駆け付けたという岩水良祐局長(40)は「中に入るとすでに水位が5センチを超えていた。近年は毎年、水害に遭っているが雨も降らないのにここまで高いとは」と驚いた様子だった。 (鎌田剛)