2021年8月14日付山陰中央新報に掲載されたラッピング紙面(表)
2021年8月14日付山陰中央新報に掲載されたラッピング紙面(表)
受賞を喜ぶTK WORKSの武田冬也さん=松江市内
受賞を喜ぶTK WORKSの武田冬也さん=松江市内
2021年8月14日付山陰中央新報に掲載されたラッピング紙面(表)
受賞を喜ぶTK WORKSの武田冬也さん=松江市内

 第42回新聞広告賞で広告賞に選ばれた島根県のUターン促進企画「親のひとことが島根へ帰るきっかけでした」は、紙面上のメッセージとスマートフォンの映像を絡め、親と子の絆をあらためて考えさせる作品。交流サイト(SNS)で「離れている長男を想(おも)い泣きそうになった」などの反響があり、親元と都会地をつなぐきっかけをつくった。 (佐貫公哉)

 受賞作品は「親のひとことが」で始まる広報のキャッチコピーに、ラッピング紙面の裏面で「あの子のひとことは『帰ってもいいかな』のサインです」が呼応。表面、裏面とも、スマホでQRコードを読み取れば、それぞれ息子と母親を主人公にした、約1分30秒の短編動画が紙面の一部として視聴できる仕掛けになっている。

 県には「こういうの好きです!」「心打たれました」「親も子も気持ちを話し合うきっかけになるといい」などの声がインスタグラム、ツイッターで寄せられた。動画は「ふるさと島根定住財団」のサイトでも視聴でき、新聞掲載当日の2021年8月14日のアクセス数は「普段の4倍以上」の1万3千件に上った。

 「親の世代にも子の世代にも届きやすい広告」を模索しながら制作を手がけた、広告・デザイン業のノード(松江市竹矢町)のグラフィックデザイナー品川良樹さん(37)は「全体的なつくりは派手さのないシンプルなものなので、これほど注目されるのは驚いた」と振り返る。

 動画の撮影、演出を担当した、映像制作のTK WORKS(松江市八雲台2丁目)のムービーディレクター武田冬也さん(33)が目指したのは「若者の個性を尊重する押しつけがましくない広告」。今回の受賞で「人の目に触れる機会がさらに増え、うれしい」と白い歯を見せた。

 県の受賞は、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた20年の「帰省自粛啓発メッセージ」に続く2度目。県地域振興部の藤井洋一部長は「今後も新聞を開く読み手の姿をイメージしながら心に届く広報に努めたい」とコメントした。