年1回の接種が義務付けられた狂犬病の予防注射の接種率が伸び悩んでいる。かつては全国で100%近くあったものの7割台に落ちており、島根では近年、73~76%で推移。行政に届け出のない未登録犬を含めるとさらに低いとみられる。発症すればほぼ死に至るため、専門家は接種の重要性を呼びかける。28日は世界狂犬病デー。
狂犬病は、感染した動物にかまれ、唾液中のウイルスが傷口から入ることで感染する。全ての哺乳類が感染し、潜伏期間は1~3カ月程度。感染が疑われる場合はワクチンを接種することで発症を抑える。いったん発症すれば効果的な治療法がなく、ほぼ死亡する。人から人への感染はない。
国内で人が感染した例は1956年以降確認されていないが、国外では日本やオーストラリアといった一部の国を除き、ほとんどの国で発生し、世界で年間5万人以上が亡くなっている。ほとんどが犬にかまれて感染している。
50年施行の狂犬病予防法は、飼い主に市町村への犬の登録と、年1回の予防接種を義務付ける。毎年4~6月に各地の公民館や集会所で集合注射を実施するほか、動物病院でも受けることができる。登録した際に「鑑札」、予防注射を接種した際に「注射済票」がそれぞれ交付され、犬に付けなければならない。
90年ごろに全国でほぼ100%だった接種率は年々低下。島根県は、県薬事衛生課によると2011年度の80・4%から20年度は73・4%、21年度は75%と低下傾向にある。鳥取は微増しているが、70%台にとどまる。
島根県獣医師会の増田省一常務理事(67)は、狂犬病への危機意識の低下や、犬の登録と注射でそれぞれ3千円程度かかる費用負担、登録の手間が一因になっていると分析。注射を受けても市町村に届けない例もあるという。
まん延を防ぐため、世界保健機関(WHO)は接種率の目標を70%にするよう勧告している。「ペットフード協会」(東京)の推計によると、21年の飼育数は全国で約710万匹。登録数とは約100万匹の開きがあり、実質的な接種率はさらに低いとみられる。
検疫などの水際対策を講じるものの、狂犬病の発生国から感染した犬が船舶などで上陸することも考えられ、身近にいる犬の対策が有効だ。増田常務理事は「これまでも周知に取り組んできたが、新たに飼い始める人たちにピンポイントで届く啓発を考えたい」と話した。













