小京都として親しまれている津和野藩の城下町や豊かな自然を電動アシスト付き自転車やトレッキングで巡る個人客向けガイド付き体験型ツアー「Yu―na(ユーナ)」。四季折々の観光を推進し、リピーターを増やす新たな取り組みだ。
津和野町や町観光協会、地元内外の観光事業者などでつくる推進協議会が昨年9月から実施する。地域の歴史や植物などに詳しい専属ガイドが同行することで、よりディープな津和野を楽しめると好評だ。
津和野は1970年代に女性ファッション誌に紹介されたのをきっかけに、貸自転車で町中を周遊する若者でにぎわった。観光の定番だった自転車散策を切り口に、町観光協会の金子成一郎事務局長は「昔のにぎわいを取り戻したい」と話す。
町内は旅館の廃業などで宿泊の収容力が下がり、団体客が来ても観光の消費額が上がらない課題があった。滞在時間を延ばす体験型ツアーで客単価を上げ、個人客のリピートを増やす狙いもある。
コースには日本遺産に登録された「津和野今昔~百景図を歩く~」を足がかりに江戸末期と現在の風景を比べながら町を巡ったり、町のシンボル「青野山」を見上げる茶園で一服したりする趣向を盛り込んだ。宿泊付きのツアーでは、早朝に津和野城跡にトレッキングし、城下町を眼下に朝食を楽しめる。
ユーナ(ゆうな)は「ゆったりとした」を意味する津和野の方言。広島市からIターンし、協議会の会長を務める岡野優衣さん(22)は「このツアーでしか行けないところもある。ゆっくり来て、ゆっくり楽しんでほしい」と呼びかける。
協議会の窓口を担う観光協会は、8月にリニューアルしたJR津和野駅の構内に移転したばかり。より利便性を上げ、津和野の顔として観光客を迎える。ツアー利用の年間目標は600人。夏にはホタル、秋は紅葉といった季節ごとのコースも随時増やす計画だ。
問い合わせは協議会、電話0856(72)1771。