ロボットを前にコンテストを振り返る学生たち=松江市西生馬町、松江工業高等専門学校
ロボットを前にコンテストを振り返る学生たち=松江市西生馬町、松江工業高等専門学校

 松江工業高等専門学校(松江市西生馬町)の学生が、災害時に人命救助を担う「レスキューロボット」のコンテストで5年ぶり2度目の優勝を果たした。負傷者を赤ちゃんに接するように優しく助ける独創的な機能が評価された。メンバーは「来年も優勝できるよう改良を重ねる」と意気込んでいる。 (佐貫公哉)

 コンテストは全国の大学、高専、企業の関係者などでつくる実行委員会が2000年から毎年開催。防災意識の向上や技術者の育成を目的としている。今年は8月中旬に神戸市内であり、予選を突破した14チームが覇を争った。

 競技は被災した家屋を模したフィールドから負傷者に見立てた3体のダミー人形(全長20~30センチ)を救い出す内容。ロボットを無線操縦し、救助の早さや安全に運び出す技術を競う。

 10年から毎年参加している松江高専チームは今回、人形への配慮に特化したコンセプトを打ち出した。持ち上げる「爪」部分を工夫。大小三つの爪で首や背中、腰を3方向から包むように支える構造にした。

 開発した機械工学科5年の沼本祐輝さん(19)は「最も弱い首に負荷がかからないよう、首の据わっていない赤ちゃんの抱き上げ方をイメージした」と説明。乳児が抱かれている様子を見てひらめいたアイデアで、試作を経て3年越しに実現させた。

 加えて、移動時の衝撃を和らげられるよう車軸部分にばねを装着。競技中、機体のトラブルが発生し競技得点では3位だったが、創意工夫で高評価を受けて優勝に輝いた。

 主将を務めた機械工学科3年の中尾匠さん(18)は「先輩たちから受け継いだ知識と技術を改良し、継承していきたい」と語った。