佐太神社の舞殿で、演目「大社(おおやしろ)」を披露する佐陀神能保存会のメンバー=松江市鹿島町佐陀宮内
佐太神社の舞殿で、演目「大社(おおやしろ)」を披露する佐陀神能保存会のメンバー=松江市鹿島町佐陀宮内

 400年以上の歴史を持つ松江市鹿島町の神事舞・佐陀神能のユネスコ無形文化遺産登録10周年を記念し2日、佐太神社(松江市鹿島町佐陀宮内)で特別公演があった。昨年修復を終えた舞殿で保存会の舞手が古式ゆかしく立ち回り、招待された島根、宮崎両県の計3団体も華麗な舞で節目に花を添えた。

 保存会は「大社(おおやしろ)」「日本(やまと)武(だけ)」「成就神楽(じょうじゅかぐら)」の3演目を披露。大社では、龍神が運んできた宝箱から龍蛇神を受け取った御祭神・佐陀大神が「やおよろずの神の父母はわれなり」と言い社殿に入る様子を、鮮やかな衣装を身にまとった舞手が軽妙な笛や太鼓の音色に合わせながら演じた。

 来場者は荘厳な神話の世界観を映し出す舞台に見入り、上演後は盛大な拍手に包まれた。松江市東津田町の本間紀江さん(71)は「舞手の所作や奏楽が迫力があり見応えがあった」と話した。

 ご神体の出現を主題に久美神楽(島根県隠岐の島町)、大土地神楽(出雲市)、高千穂神楽(宮崎県高千穂町)が上演され、子ども佐陀神能教室による巫女(みこ)舞、七座神事「八乙女(やおとめ)」の披露もあった。

 特別公演は昨年9月に開催予定だったが、新型コロナウイルス禍で1年延期された。佐陀神能保存会の石橋淳一会長(51)は「全国の神楽社中との交流を通して、今後の伝承につなげていきたい」と意気込んだ。公演は松江市などでつくる佐陀神能ユネスコ無形文化遺産登録記念事業実行委員会が主催し、千人が来場した。

(石倉俊直)