子ども食堂は地域交流の場と話す湯浅誠さん=松江市学園南1丁目、くにびきメッセ
子ども食堂は地域交流の場と話す湯浅誠さん=松江市学園南1丁目、くにびきメッセ

 子ども食堂をテーマにした講演会が3日、松江市内であり、日本の貧困問題に取り組んできた社会活動家でNPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京都)の理事長を務める湯浅誠さん(53)が、子どもだけではなく、地域住民の居場所となる食堂の意義を説いた。

 湯浅さんは、無料や低額で食事を提供する子ども食堂は、全国に6千カ所(2021年時点)あり、前年から1千件以上増えた背景に「地域で集う場が消えているからだ」と指摘。住民が潜在的に「居場所」を求めている背景があるとした。

 生活に困窮した子どもが行く場所というイメージがあるが、全国の食堂のうち生活困窮者に限定するのは5%にとどまり、誰もが集える「公園」のような場所だ、と例えた。

 食堂の機能として、多世代やいろいろな人と交流でき、子どもの力を引き出す一面があると紹介。大学生のボランティアが付き添って勉強した女児が今までにない集中力を発揮した例を挙げ、「頑張ったねと声をかけ、見守っているだけで力になる」と述べた。

 また、「食堂が自分の居場所だと感じる子どもが成長すれば、地域のことを考えられる人になる」と指摘し、未来へつなぐ人材を育む機能を併せ持つことも強調した。

 島根県と県社会福祉協議会が主催し、160人が聴いた。

 (坂上晴香)