勇敢な音色を響かせ、城下町を練り歩く鼕行列=松江市殿町
勇敢な音色を響かせ、城下町を練り歩く鼕行列=松江市殿町

 「鼕(どう)」と呼ばれる巨大な太鼓を載せた「鼕宮」が市街地を練り歩く松江市の秋の風物詩・松江祭鼕行列が16日、市中心部であった。新型コロナウイルス禍による中止を乗り越え、2019年以来、3年ぶりの開催。秋晴れの下、14の町内・団体が威勢よく重低音を響かせ、沿道には約9万人が詰めかけた。

 

 大正天皇の即位を記念し、1915年に各町内が鼕の大きさを競い列を成したのが始まりとされる伝統行事。

 県庁前(松江市殿町)に幕やちょうちんで飾り付けた鼕宮とともに、法被とねじり鉢巻き姿の約千人が集結。笛とチャンガラの軽快なはやしに合わせて直径1・2~1・8メートルの鼕を勇ましく打ち鳴らし、松江大橋を渡り白潟天満宮(同市天神町)までの2キロ弱のルートを約2時間かけて進んだ。

 途中5カ所の演舞場では息の合った踊りやばちさばきを披露し、見物客から盛んな拍手が送られた。

 娘と一緒に訪れた松江市東津田町の会社員仲美穂子さん(35)は「さまざまなイベントが制限される中、迫力のある祭りが帰ってきてうれしい」と笑顔を見せた。

 全町内の「一斉鼕打ち」の中止やマスク着用など、今年の開催はなおコロナ禍の影響があったが、長崎敏明会長(75)は「多くの人が参加、観覧してくれたことに感謝したい」とし、伝統行事を継承していく決意を新たにした。 (清山遼太)