時速20キロ未満の電動カートを運行する「エコ×ユニバーサルな松江のまちづくりを考える会」(石原智治会長)が、松江観光への活用を目指し、4月末に試乗会を始めた。タイのタクシー「トゥクトゥク」のような窓がない開放的な車両で、歩いて巡るには少し距離がある松江城周辺の観光地をつなぎ、町歩き観光の促進を図る。
同会は社会福祉法人みずうみ(松江市法吉町)や事業者など、約70団体で2017年に結成。高齢者の買い物や通院支援として20年4月、同法人が中心となり電動カート「リホープ」の運行事業を、法吉団地など市内4団地内で始めた。
新たに、観光の利便性向上にも取り組む。松江城の堀沿いに点在する堀川遊覧船乗り場前を起点に、大手前広場や松江しんじ湖温泉、市役所など数キロ圏内を結び、観光客や住民の周遊を促す。
4月28日には丸山達也知事や上定昭仁市長など30人を招き、松江市末次本町のカラコロ広場周辺の約200メートルのコースで試乗会を開いた。乗車した松岡泉さん(58)=松江市南平台=は「建物との距離を近くに感じ、開放感があった」と話した。
法人理事長で、同会の岩本雅之事務局長は「町歩きの動線をつくり、地域振興にもつなげたい」と話した。今後も試乗会を重ね、運賃設定などを詰めて実用化を目指す。(中村成美)