2023年度の保育所、幼稚園の入所、入園募集の時期がやってくる。これから働く、働きたい母親らにとって悩みの種は、どこに通わせるかだ。ただ、近年は認定こども園や幼保園など施設の種類が増加した。子どもを通わせる場所という共通点はあるものの、どう違うのか分からない人も多いのではないか。松江市内で娘の入所、入園先に悩む記者が市の担当者に聞いてみた。
(片山大輔)
松江市が23年度の入所、入園募集する施設の種類は「認可保育所」「幼稚園」「認定こども園」「幼保園」「小規模保育事業施設」の五つ。
▽認可保育所
まず認可保育所は、市が認可し、家庭に代わり「保育」する施設と位置付けられる。就労、疾病・障害、妊娠・出産などで家庭で世話できない0~5歳児を預かる。給食があり、利用時間は大半が午前7時~午後7時となっている。
▽幼稚園
幼稚園は「幼児教育」を提供する場所で、保護者の状況に関係なく、3~5歳児を受け入れる。教育を提供する時間は午前9時~午後2時だが、預かり保育を含め午前8時~午後6時に対応する施設もある。無償化の対象は基本的に午前9時~午後2時だが、求職活動や疾病・障害、産前産後、月48時間以上の就労などの場合は預かり部分を含めて無料。公立の場合はほとんどが給食はなく、小学校と同様に春、夏、冬の長期休みがある。
▽認定こども園
認定こども園は保育所と幼稚園の機能を兼ね備えた幼保一体型施設。06年に法律が施行されて制度が始まり、市内では15年に1カ所目が誕生した。
家庭保育できない0~5歳児を受け入れる保育所部門と、3~5歳児なら誰でも利用できる幼稚園部門を併設する。主に3歳児以上は保護者が就労していなければ幼稚園部門となり、仕事をしている場合はどちらでも選べる。給食はあり、どちらの部門でも教育内容は同じ。基本的に午前7時~午後7時に対応し、幼稚園部門の短時間は午前9時~午後2時。
▽幼保園
幼保園は国の認定こども園の制度に先駆け、市が05年に独自に設置を開始した幼保一体型施設。家庭保育できない0~2歳児が対象の保育所部門と、3~5歳児なら誰でも利用できる幼稚園部門に分かれる。こども園と違うのは、3歳児になると自動的に幼稚園児になる点で、給食はあり、利用時間は午前7時~午後7時。3歳児以上の短時間の場合は午前9時~午後2時となっている。
▽小規模保育事業施設
小規模保育事業施設は、保護者が家庭で保育できない0~2歳児が対象。定員19人以下の認可保育施設で、給食はあり、利用時間は午前7時~午後7時だ。
それぞれのメリット、デメリットはどうだろう。保育所は0~5歳まで一貫して預けられる一方、仕事を辞めれば退所しなければならない。
▽どこを選ぶ?
幼稚園は保護者の状況が関係ないうえ、主に小学校単位で公立があってスムーズな入学につながる。だが、3歳未満は預けられず、給食がなかったり、利用時間が午後6時までだったりする点は、フルタイムで働いていると厳しいかもしれない。
こども園と幼保園は保護者の就労形態にかかわらず、子どもが保育や教育の機会を同じ環境で得ることができることなどが利点。保護者が働き続ける場合、幼保園は3歳児になると幼稚園部門に変わるための手続きが発生する。こども園はその手続きがないという。
松江市は12月1日に申込書類の配布を開始し、幼稚園、幼保園(幼稚園部門)、認定こども園(同)は同日~23日に受け付け。認可保育所、幼保園(保育所部門)、認定こども園(同)、小規模保育事業施設は、入所可能枠を市ホームページで公開する12月15日~来年1月13日が1次募集、同3月1~10日が2次募集の期間だ。
仕組みをひもといてきたものの、各施設ともに教育方針などは異なり、それぞれに特色がある。自宅や職場に近いといった預けやすさ、園の雰囲気、駐車場が広いか狭いかなど、各施設のホームページやパンフレットを見たり、一斉解放に参加したりと、まずは現場を確認してほしい。山陰両県の市町村は、それぞれが「子育て支援」を打ち出していて、それぞれ子どもを預ける施設、支援制度には違いがある。あらためてチェックしたい。