体重200キロ超、体長182センチ、胴回り141センチもある雄の巨大イノシシが、鳥取県江府町内の山中で仕留められた。地元でジビエ解体処理施設を運営する「奥大山地美恵(じびえ)」が仕掛けたわなに掛かった。ぼたん鍋で200~300人分の肉が取れる超大型獣で、関係者は「国内最大級の山の主かも」と驚愕(きょうがく)した。
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9日午後3時ごろ、江府町大河原地内の山中で、捕獲用くくりわなを見回りしていた地美恵会長の浦部二郎さん(77)が発見した。最初は60~80キロ級の一般的な成獣だと思ったが、近寄るとその大きさにびっくり。「とにかく想像を超す大物で、威嚇に肝を冷やした」と話した。
急きょ、現場に出向いた日野郡猟友会江尾地区長の高野伸也さん(33)が恐怖心と闘い、至近距離から単発のスラッグ弾で仕留めた。大人4人でも運べないほどの重量があり、たまたま近くで重機を操作していた工事関係者に助太刀を依頼。荷の重量を量る装置付きの油圧ショベルでつり上げたところ、200キロ超だったという。
地美恵副会長でジビエ解体の調理師、宇田川保さん(73)は「熊かと見間違うほど大きく、現場で殺後に行う放血処理も難儀した」と興奮覚めやらぬ様子。
同会では肉の一部を賞味して加工方法を協議。商品化して地元の道の駅で売り出す予定だ。 (山根行雄)
6~7歳の個体か
イノシシの生態に詳しい江口祐輔・麻布大教授の話 巨大と表現してもおかしくない。雄の骨格は5歳ごろまで成長するので、6~7歳の個体ではないか。家系的に大型化しやすいDNAを持った個体の可能性もあり、研究対象になり得る。