はえ縄漁の仕掛けを作る夫の東雄大さん(右)と妻の瑞穂さん=出雲市小伊津町
はえ縄漁の仕掛けを作る夫の東雄大さん(右)と妻の瑞穂さん=出雲市小伊津町
はえ縄漁の仕掛けを作る夫の東雄大さん(右)と妻の瑞穂さん=出雲市小伊津町

 高級魚「アカアマダイ」の漁が盛んな出雲市小伊津町で近年、漁師を志す男性が集まり始めている。全国的に水産業の後継者不足が懸念される中、偶然同じ時期にUIターンした20~40代の4人が、伝統の漁に挑む。漁師の世界では若手だが、高齢化に直面する町を活気づけようと、海に熱い視線を向ける。 (藤原康平)

 小伊津町ではアカアマダイ漁を専門にする船がほとんどで、漁師は70代が7割を占める。イカ釣りなども含む漁船の数は20隻で、最も多かったとされる1960年代ごろより50隻減った。20隻のうちアカアマダイ漁専門の船は10隻。

 4人は島根県外出身者2人と小伊津町出身の2人。空き家の活用や実家で暮らしながら、漁師になる準備や研修に励む。

 このうち、東雄大さん(35)はアカアマダイ漁師になるために昨年6月にUターンした。京都府で居酒屋を経営するなどいくつかの職業を経験したが、釣りが大好きで、海を職場にするのが夢だった。

 昨春、キャリア20年の金築茂美さん(76)=同市小伊津町=を訪ね、漁の基本を学んだ。昨年末には妻の瑞穂さん(30)=京都府出身=も移住。小伊津町では、夫婦で仕掛け作りや出荷作業をするのが日常的で、瑞穂さんも研修に加わるようになった。

 6月末に1年間の研修を終え、現在は自分の船が届くのを待っている雄大さん。沿岸漁業で、うまくいけば10万円以上稼げる日もあり「頑張った分だけ自分に返ってくる。やりがいがある」と海に向かう時を心待ちにする。師の金築さんは「伝統の漁も後継者がいないと廃れる。この町の営みを引き継いでほしい」と期待した。