異例の3期目にこぎ出した中国共産党の「1強」習近平総書記(国家主席)。天下の玉座に意欲を燃やし、覇者米国と渡り合う。攻勢を強める大国外交はどんな世界観に支えられているのか。第18回から計3回にわたり、シンガポールの元外務次官で、アジアを代表する外交家の一人ビラハリ・カウシカン氏に聞く。
―過去10年の習近平外交をどう見る。
「中国の対外政策は、習氏が最高指導者になる2012年11月以前から変わり始めていた。その流れを決定付ける事件が、この年の9月に起きる。日本による沖縄県・尖閣諸島の国有化だ」
「この時、私はシンガポー...