施設職員による障害者虐待の認定率
施設職員による障害者虐待の認定率

 障害者虐待に関する相談・通報件数のうち、自治体が調査して虐待の事実を認定した割合に、都道府県によって大きな差があることが9日、厚生労働省の分析で分かった。2019年度まで過去5年分の件数を初めて分析した。障害者施設などの職員による虐待の認定率は全国平均20%で、都道府県別の最高は宮崎の32%。最低は茨城、岐阜のいずれも6%で、26ポイントの差があった。島根は30%、鳥取は13%だった。

 自治体によって相談・通報件数が異なるため単純比較はできないが、同じ人口比でみて相談・通報が少なく認定もわずかなら、自治体が十分に対応できていない可能性もある。厚労省は認定率と併せて各自治体の特徴を検証し、改善点を探るよう求めている。

 施設などの職員による虐待の認定率が低かったのは、ほかに大分9%、山梨、佐賀のいずれも12%など。最低だった茨城、岐阜は、人口10万人当たりの認定も0・1件で、全国平均0・4件を下回り、都道府県別で最も少ない水準だった。

 認定率が高かったのは、ほかに高知31%、福島30%、栃木27%だった。

 家族による虐待の認定率をみると、最高は京都の58%。最も低いのは大分の12%で、大阪19%、高知22%と続いた。島根は41%、鳥取は38%。大分は人口10万人当たりの認定が0・4件で、全国平均1・2件を大きく下回った。

 家族による虐待の相談・通報は、大阪が人口10万人当たり11・8件で最も多かった。

 厚労省は障害者虐待防止法に基づき、毎年度、全国の虐待件数を集計し公表。19年度は職員による虐待が547件、家族による虐待が1655件だった。内訳は暴力や拘束といった身体的虐待が最も多い。ほかに暴言などの心理的虐待、性的虐待などがある。 国学院大の佐藤彰一教授(権利擁護)の話 認定率の算出は初の試みで評価できる。認定率が高いだけでなく、人口10万人当たりの相談・通報件数も多い地域は、障害者の権利擁護に積極的と言えるだろう。率が低く相談も少ない地域は改善が求められる。障害者施設などの職員による虐待は、施設側が隠したり、調査協力が得られなかったりすれば、自治体の認定が難しくなりがちで、行政の調査権限強化が必要だ。認定に至らなくても、改善すべき点を施設側に指導できたかも重要となる。市区町村別に分析すれば、より課題やばらつきが分かるはずだ。 障害者虐待防止法 家庭や障害者施設、職場などでの障害者虐待を防ぎ、早期発見するための法律。2012年10月に施行された。虐待を(1)身体的虐待(2)心理的虐待(3)性的虐待(4)食事を減らし衰弱させるなどの放棄・放置(5)障害年金の使い込みといった経済的虐待―に分類。虐待と思われる事案を発見した人に速やかな通報を義務付け、自治体には通報や相談の窓口設置を求めた。市区町村は家庭への立ち入り調査や被害者の一時保護ができる。