ブリロの箱について説明する尾崎信一郎美術振興監=米子市日野町、Goods&Cafeみっくす
ブリロの箱について説明する尾崎信一郎美術振興監=米子市日野町、Goods&Cafeみっくす

 2025年春に開館する鳥取県立美術館(倉吉市駄経寺町2丁目)の目玉として県が計約3億円で購入した、巨匠アンディ・ウォーホル(1928~87年)の立体作品「ブリロの箱」について、専門家による対話型の説明会が29日、米子市内であった。県美術館整備局美術振興監の尾崎信一郎さん(60)を講師に迎え、参加者は作品の時代背景や意義を考えた。

 ブリロの箱は米国のたわしの包装箱を模倣した木箱で価格や価値、購入の意義を巡り賛否が分かれる。尾崎さんはブリロの箱だけで議論するのではなく、他の作品と比べる「展示の文脈」で判断すべきだと訴えた。

 展覧会の主題や共に並べる作品によって現代社会の大量生産、大量消費に対する揶揄(やゆ)と捉えられたり、日用品と芸術品との関連性を示したりするとした。「さまざまな見方で考えられるのは、ブリロの箱が優れているからこそ」と話した。

 主婦の井田嘉子さん(47)=境港市新屋町=は「最初は値段に驚いたけれど、他作品との関係性の中でブリロの箱を見て、どんな考え方ができるのか興味が湧いた」と話した。

 県はこれまで、美術館の目的や収集方針についての住民説明会を各地で開催。今回は作品に焦点を当て、理解を深めてもらおうと企画し25人が参加した。来年1月15日に倉吉市内、2月23日に鳥取市内でも開く。

 (坂本彩子)