ディーン・ルイス(Dean Lewis)とルイス・キャパルディ(Lewis Capaldi)は新しい年にさらなる活躍が楽しみな男性シンガー・ソングライター。2019年発表のデビュー・アルバムはどちらも秀逸だった。独特の声と確かなソングライティング力で生み出す歌は、時代や流行に左右されないであろう普遍的な魅力を放つ。23年も2人のルイスは心に響く歌を届けてくれるに違いない。
オーストラリア出身のディーン・ルイスは、泣いているような声で歌う。だから、どんな歌も切なく聞こえてしまう。そこがいい。もちろん全ての歌が切ない内容というわけではないだろうけど、初アルバム「A Place We Knew」の代表曲「ビー・オーライ」は切ない失恋の歌だ。母国オーストラリアをはじめ、世界でヒットした。

22年秋に2枚目のアルバム「The Hardest Love」をリリース。収録曲の「How Do I Say Goodbye」は、がんと診断されたお父さんへの思いを込めた歌で「How do I, how do I, how do I say goodbye?(どうさよならを言えばいいのか)」のフレーズが胸を打つ。父子を中心に家族の歩みを振り返るホームビデオ映像を交えたミュージックビデオに愛がにじむ。
ディーン・ルイスはDJとのコラボもあって、マーティン・ギャリックス(Martin Garrix)と組んだ「Used To Love」(19年)や、カイゴ(Kygo)と共演した「Lost Without You」(22年)は、ぐっとくる曲だ。
ルイス・キャパルディは英国スコットランド出身。もう説明不要かもしれないが、こちらも失恋ソングの「サムワン・ユー・ラブド」が英国と米国で1位になり、初アルバム「Divinely Uninspired To A Hellish Extent」も大ヒットした。低音ボイスで情感豊かにバラードを歌う。

22年秋に発表した新曲「Forget Me」は初アルバムにはないタイプのキャッチーな曲だ。笑いを誘うミュージックビデオは彼のユーモアのセンスを感じさせて好感度がアップ。5月に出る2枚目アルバムへの期待が今から高まっている。
それにしても、初アルバムのタイトルは難しそうで長々しい。直訳すると「地獄に至るくらいの程度になっている、神々しいほどに霊感のない状態」といった意味か。歌詞の一部だろうか。あるいは、そんな状態であの素晴らしいアルバムを作ったということ? 2枚目アルバムのタイトルは「Broken By Desire To Be Heavenly Sent」と発表されており、こちらは「天与であることを求める願望によって壊れて」くらいの意味だろうか。新作に取り組む中で天から降りてくる音楽の才能を求めるあまりの表現? 大げさなタイトルにも彼のユーモアが表れていそうだ。3枚目以降もこのパターンかな。そういう意味でも彼のこれからが興味深い。(洋)
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