金融庁は昨年末、新型コロナウイルス禍と資源高で苦しむ中小企業の支援策のノウハウ集「業種別支援の着眼点」(試行版)を公表した。

地域金融機関で企業支援の経験が浅い現場担当者でもすぐに実践で活用できる内容としたのが特長だ。業種、企業ごとの収益力改善のため、一般的な特性を分かりやすくまとめた。

 「粉飾決算を見抜くコツ」といった「貸せる・貸せない」の融資審査目線ではなく、「どこが企業の稼ぎポイントか」に絞って、ノウハウを紹介した。

 全業種共通編では、入札や診療報酬など固定的な売り上げから、どれだけ利益を残せるかが勝負となる企業(建設、医療・介護、広告など)と、事業資産を有効活用しどれだけ売り上げを伸ばせるかが勝負の企業(小売、卸売、飲食など)に大別した。その上で、具体的にどの指標を重視すべきかを説明した。

 業種別編では、各業種のキーマン、事業特性、訪問時の着眼ポイントなどを分かりやすくまとめた。

 小売業では、年間の販売数・額によって、メーカーや問屋から支払われるリベート(雑収入扱い)が利益を左右する場合がある。従業員1人当たりが管理できる限界の売り場面積(8~10坪程度)とアイテム数(80~100アイテム)の目安も示した。売り上げを伸ばすのに必要な課題は、入店客数か買い上げ率か、平均買い上げ店数か平均商品単価なのかを具体的に把握していく必要性を強調した。

 大手やインターネット店に対抗するための鍵となる「専門性」「保守・修繕」、顧客との「関係性」を具体的にどのように整理していくべきかのポイントも示した。

 再編で大手の寡占化が進む卸売業では、顧客に選ばれる三つの機能をまとめた。顧客に対して支払いや注文を「待てる機能」、バラ売りに対応した細かい注文も受ける「分ける機能」、作業現場や山間部まで「運べる機能」だ。いずれも大手が対応できない部分である。

 事業用倉庫が自社物件か賃貸物件かによって、...