前回のコラムでも紹介した通り、農業関連の最上位の法律である「食料・農業・農村基本法」の検証が進められており、需要を起点とした農業生産が検討テーマの一つに掲げられている。
日本の食料自給率(カロリーベース)は4割を切る低水準にある。これは他の先進国(アメリカ121%、ドイツ84%、フランス131%、イギリス70%=2019年、試算値)と比べて低く、国際的な食料需給の逼迫や食料のサプライチェーンの混乱が発生する中、食料安全保障における大きなリスクとなっている。他方で、全国の耕作放棄地・荒廃農地は年々増加を続けており、国内農地の生産ポテンシャルを十分に生かせていない状況にある。
次に主食であるコメの生産体制について焦点を当てよう。食生活の変化を受けて、コメは長い間供給過剰状態にある。政府は余剰傾向にあるコメ生産の抑制のため、かつては生産調整(いわゆる「減反」)を実施し、国主導の減反が終了した後は、代わって水田での他作物の栽培(転作)を推奨してきた。近年、このような政策に関して、新たな動きが...
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