JR山口線を走る観光列車「SLやまぐち号」。黒煙を出し、盛大な汽笛を響かせながら山陰の小京都・津和野を目指すSL列車として、子どもから大人まで幅広い人気を集める。車両不具合の影響で2022年5月以降、運休が続き、沿線住民や鉄道ファンは1日も早い復活を待ち望んでいる。JR山口線を走るSLの雄姿を2回に分けて紹介する。
 (記事・写真ともに政経部・石倉俊直)

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 新山口ー津和野駅間を走るSLやまぐち号は、毎年3月~11月の土日祝日を中心に1往復走る。SLがディーゼル機関車や電車などへの置き換えで国内から姿を消して間もない1979年、国鉄路線での復活SL第1号として運行を始めた。

観光客や地元住民の見送りを受けるSLやまぐち号。写真のC57型は2020年10月の車両トラブル以降、復帰のめどが立っていない=島根県津和野町名賀

▽ディーゼル代走
 現在、担当するSLは優雅なスタイルから「貴婦人」の別名を持つC57型と、「デゴイチ」の愛称で親しまれるD51型の2両で、通常は双方が交互に客車をけん引する。かつては小型のC56型や、国鉄時代に全国の路線で見られた中型のC58型も活躍したが、いずれも引退した。
 

津和野を目指すSLやまぐち号。けん引するC57型はこの日の夕方、津和野町内を走行中に不具合が発生し、運行を中断した=2020年10月10日午後0時14分、山口市


 C57は2020年10月、島根県津和野町内を走行中に不具合が発生し、D51は22年5月に石炭を積む炭水車に亀裂が見つかったため、2両とも京都市の車両工場で修理を受けている。今シーズンの運行計画では3~5月上旬はディーゼル機関車による代走が発表された。

SLの見学に訪れた幼稚園児。盛大な汽笛を響かせる漆黒の車体は子どもの注目を集める=島根県津和野町後田
SLやまぐち号を見送る沿線住民や鉄道ファン=島根県津和野町名賀

▽重連運転も

 やはりSLの早期復活が沿線に活気を呼び戻す起爆剤になることは間違いない。やまぐち号は、...