【益田】万葉歌人・柿本人麻呂をまつる益田市戸田町の戸田柿本神社に、同市染羽町の雪舟焼窯元、福郷徹(てつ)さん(75)が自作の人麻呂像を奉納した。神社には人麻呂生誕に関する伝承が残り、今年は没後1300年に当たる。像は境内の宝物庫に収蔵され、5月2日から3日間の式年大祭の期間中、一般公開される。
福郷さんと親交がある前宮司の綾部正さん(83)が昨年、「神社収蔵の人麻呂の掛け軸を基に創作してほしい」と依頼。快諾した福郷さんは昨年5月から創作し12月に完成した。
高さ約40センチで奥行き、横幅はともに30センチ。左手に巻紙、右手に筆を持ち、歌を考える様子の白髪、白ひげ姿で、福郷さんは「平面に描かれた姿を立体に起こす際に、かつて学んだ備前焼の知識や技術を生かした」と振り返った。
19日の春の祈年祭で氏子総代ら約30人を前にお披露目され、福郷さんは「15年前に神社近くの山から産出され、寝かせていた粘土を全体の3分の1使って仕上げた。節目の年に奉納できてよかった」と話した。
(中山竜一)