ずっと、遠くにその背を追い続けてきた。

 それが、私にとっての「永井路子」という作家だった。

 初めてその著書に触れたのは、中学生の時。歴史小説が好きだったけれど、勇ましい武将たちの戦の物語と自分との間に距離を感じ始めた頃、永井さんの書いた「北条政子」を見つけた。北条政子のことは、歴史上...