同性同士の結婚を認めないのは憲法違反として、北海道に住む同性カップル3組が国に損害賠償を求めた訴訟の判決があり、札幌地裁は「同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」とする初判断を示した。賠償請求は棄却したが、家族の在り方が多様化している時代の変化と要請に目配りした司法判断といえよう。

 同性婚を巡る訴訟は2019年2月、各地のカップルが札幌をはじめ東京、名古屋、大阪の4地裁に一斉に提訴。その後、福岡地裁への提訴もあり、現在5地裁で争われている。その中で初の判決となり、他の訴訟や、性的少数者(LGBT)に対する社会全体の意識にも大きな影響を及ぼすとみられる。

 世界で初めて同性婚が法的に認められたのはオランダで、01年のことだ。今や米国や英国、台湾など30近い国・地域に広がり、異性間の結婚に準じる権利を認めている例も少なくない。日本では自治体が同性カップルを結婚に相当する関係と公的に認める制度を創設したり、企業がLGBTに配慮した職場づくりに取り組んだりしている。

 とはいえ、同性婚は認められておらず、生きづらさを訴える当事者は後を絶たない。社会の受け止め方はさまざまで同性婚の法制化には強い反対も予想されるが、生きづらさをどう取り除いていくかという視点から法整備の議論に本腰を入れることが求められよう。

 札幌訴訟の原告は男性同士の2組と女性同士1組。いずれも婚姻届を提出したが、不適法と受理されなかった。裁判で「同性と結婚できず、婚姻の自由を不当に侵害された」とし、さまざまな法的・経済的不利益を受け、法の下の平等に反すると主張。同性婚を可能にする立法措置を怠った国の対応は違法とした。

 憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と定め、民法や戸籍法が「夫婦」という言葉を使っていることから、婚姻は男女間に限られるというのが政府見解。国側は「憲法は同性婚を想定しておらず、不合理な差別には当たらない」「夫婦が子どもを産み育てながら、共同生活を送る関係に法的保護を与えるのが婚姻制度の目的」などと反論した。

 札幌地裁は「同性カップルに婚姻によって生じる法的効果の一部ですら与えないのは立法府の裁量権を超え、差別に当たる」とし、憲法14条に違反すると結論付けた。ただ立法府の対応については、比較的高い年齢層に同性婚に否定的な意見が多いなどの社会情勢を踏まえ「違法ではない」とし賠償請求を退けた。

 原告らが訴える不利益は▽パートナーの法定相続人になれない▽遺族年金の受給ができない▽緊急手術の署名ができない▽職場での福利厚生を受けられない▽公営住宅にカップルで入居できない―などだ。自分の性的指向が表に出たら学校でいじめに遭ったり、職場でハラスメントにさらされたりする恐れがあることから、当事者は誰かに相談するのもためらう。

 東京都渋谷区や世田谷区、札幌市など複数の自治体が同性パートナーの証明書発行を行う制度を導入し、それにより当事者の困難が一部解消することもある。だが国単位の制度ではなく、法的拘束力もない。法整備の議論を積極的に進めてこなかったことを踏まえ、国は早急に対応すべきだ。