4月9日投開票の島根県知事選の告示(3月23日)まで残り1カ月。与野党の支持を受ける現職の丸山達也氏(52)と、共産党新人の向瀬慎一氏(52)の事実上の一騎打ちとなる構図が固まった。 (取材班)

 7日に松江市内で開いた丸山氏の後援会発会式は、2019年知事選から4年間の「変化」を物語った。

 44年ぶりの激しい保守分裂となった前回選終了後、分裂した県議会の自民党議員連盟(五百川純寿会長、16人)と県議会自民党(森山健一会長、8人)の面々が会場に顔をそろえた。当時、国会議員とともに丸山知事とは別の候補を推した細田重雄県連会長は「足並みをそろえて結束し、知事を推す態勢ができあがった。後援会立ち上げも、わが党が率先して準備を進めた」と強調した。

 県連は知事選を一本化の「最終段階」に位置づける。丸山氏の立候補は早くから既定路線で、別候補の名が上がる余地はなく、国会議員からも異論はなかった。JFしまね、県市長会など当時は別候補を推していた団体も含めて15団体のトップが副会長に就き、県連の絲原徳康幹事長は「従来の(自民党の)選挙態勢に戻った」と手応えを語る。

 前回と同様、連合島根を中心に立憲民主、国民民主など野党とも共闘する流れで、後援会幹事長の五百川県議は「今回も『県民党』であることは変わらない。協力できるところは協力をしていく」と話している。

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 向瀬氏の擁立は難航した。前回選では政治団体「みんなでつくる島根の会」から女性候補が立ち、共産との協力関係を築き臨んだ経緯があり、今回も同様の協力関係をつくる算段だった。

 ただ、9日に松江市内で協議した際、党県委員会の上代善雄委員長に対し団体関係者は、人材や資金難を理由に「候補者の選考ができていない」と伝達。告示日が迫る中、独自候補として水面下で準備してきた向瀬氏に着地した。

 委員会関係者の一人は、与野党が推す丸山氏に対し「力の差は圧倒的」と認める。反原発票の受け皿を狙いつつ、委員会の狙いは選挙活動の展開による県議選への波及効果にもある。

 現在、党県議は松江、出雲両選挙区に各1人。松江は既に定数2人超で、激戦が予想される。実際18日に松江市内で開いた向瀬氏の選挙事務所は、現職の同党県議と共同設置した。

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 立候補を表明した元浜田市議で新人の森谷公昭氏(67)。前回知事選で立候補の意向を示した後、告示日直前で県議選へくら替えした経緯がある。16日の記者会見では「今回は出る」と強調。選挙運動などは全て1人で行うとしている。