18回目の竹島の日記念式典の壇上であいさつする丸山達也知事=松江市殿町、島根県民会館
18回目の竹島の日記念式典の壇上であいさつする丸山達也知事=松江市殿町、島根県民会館

 竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))の領有権確立を国内外に訴える島根県の「竹島の日」記念式典が22日、松江市殿町の島根県民会館であった。政府に対し、竹島に関する研究機関を設置して研究体制を充実させることや、国際司法裁判所への単独提訴を含めた外交交渉の強化などを要望する特別決議を採択し、出席者が問題解決に向けた思いを新たにした。 (中島諒)

 18回目となる式典では、新型コロナウイルス感染防止のため一般参加者を35人までに限定し、当日は一般参加者29人を含む計196人が出席した。今年も政府から閣僚の派遣は見送られ、11年連続で政務官が出席した。

 主催者を代表して島根県の丸山達也知事は、韓国政府による関係者の竹島への上陸や周辺での海洋調査などの動きについて「占拠を既成事実化しようとする動きを強めており、極めて遺憾だ」と批判。日本政府に対しては、問題解決に向けて国家レベルの話し合いが不可欠だとして「外交交渉の場で竹島問題が話し合われるよう、強く望む」と要望した。

 中野英幸内閣府大臣政務官は「竹島問題は領土と主権という国の根幹に関わる極めて重要な課題だ。外交、教育、啓発の取り組みを展開し、韓国側に毅然(きぜん)とした態度で粘り強く対応する」と述べた。

 国会議員は7人が出席し、山陰両県関係で出席したのは自民党の高階恵美子衆院議員(比例中国)のみだった。いずれも自民党の細田博之衆院議長(島根1区)、高見康裕衆院議員(島根2区)、青木一彦参院議員(鳥取・島根合区選挙区)、舞立昇治参院議員(同)、三浦靖参院議員(比例)は参院本会議や公務などのため秘書が代理で出席。細田衆院議長はビデオメッセージも寄せた。

 記念式典開催に関し、松野博一官房長官は22日の記者会見で「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も明らかに日本固有の領土だ」と強調。同時に「日本の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意の下、毅然として対応する」と述べた。

 島根県警によると、この日は会場周辺で25団体約50人の右翼団体関係者が街宣活動を展開。県警は中国四国管区の6県から応援を受けて800人体制で警備した。目立ったトラブルはなかった。

 

 竹島問題 隠岐諸島の北西約158キロにある竹島について日韓双方が領有権を主張し、韓国が実力支配を続けている問題。日本は1905年に島根県に編入。韓国は52年に「李承晩ライン」を設定して竹島を取り込み、54年から警備隊が常駐し、約70年にわたって不法占拠を続けている。日本は対話による解決を求めているが、韓国は応じる構えを示していない。