半世紀前の1973年の今頃、全米ヒットチャートのトップにいたのはソウルシンガー、ロバータ・フラックのバラード「やさしく歌って」だった。かつてネスカフェのテレビCMで流れていたから、なじみのある人も多いはず。時代を超えて親しまれる名曲だ。
原題はKilling Me Softly With His Song。直訳すると「彼の歌で優しく私を殺して」だろうか。「彼の歌」がいかに素晴らしいかを形容する表現である。
その「彼の歌」は実在する。米シンガー・ソングライター、ドン・マクリーンの「エンプティー・チェアーズ」だ。大切な人が去った後の「空っぽの椅子」を歌う。優しい歌声が心に染みるバラードで、71年の彼のアルバム「アメリカン・パイ」に収録されている。
ロリ・リーバーマンという女性歌手が彼のライブでこの歌に感動し、テーブルにあったナプキンに走り書きした詩から作詞作曲されたのが「やさしく歌って」。リーバーマンのバージョンはヒットしなかったが、ロバータ・フラックにカバーされて歴史に残る歌になった。
モデルになった歌を収録するドン・マクリーンのアルバムもその前年の72年、8分を超える同名シングル「アメリカン・パイ」とともに全米1位に輝いた。 (洋)
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