挑戦とは、置かれた立場や環境によって持つ意味合いが変わる。日本一短い手紙のコンクール「一筆啓上賞」に、こんな大賞作品があった。<ちゃれんじってなんですか。ぷーるにおもいきってかおをつけたこともちゃれんじですか>▼福井県坂井市の小学1年女児が担任の先生に宛てた。何度読んでも頬が緩む。ついこの間までお風呂でシャワーの水が顔にかかるのも嫌がったはず。すごく勇気を出した立派なチャレンジとたたえたい▼こちらの挑戦は無謀に映るだろうか。サッカーのJリーグ参入を目指す「ベルガロッソいわみ」。中国リーグの今季の戦いがホームの浜田市で26日に幕開けする。カテゴリーが一つ上のJFLに属し、追い付き追い越したい存在だった松江市の「FC神楽しまね」は運営会社が資金難に陥り、ついには経営破綻した。島根からJへの道は志半ばでついえた▼松江でさえ厳しかったのに石見からは無理ではないか―。そんな声も聞こえてくる。スポンサー集めにも練習の場の確保にも苦労は多いが、選手やスタッフは意に介さない。「難しい壁を乗り越えようと挑むことに楽しさと意義を感じているんです」とはチーム代表理事の沖野賢治さん(39)▼そんなチャレンジ精神が石見の子どもたちに広がるといい。いや、挑戦がおっくうになった、もしくは忘れてしまった中高年こそ試合会場に思い切って足を運んでみよう。(史)