<短歌>安部 歌子選

国家試験終へし息子と二人きり山の湯宿の小さき宴会       米 子 倉井 正喜

  【評】国家試験を終えた息子さんを労(ねぎら)う作者。宴会と言いつつも「息子と二人きり」 と詠う作者の寂しさも伝わり家族の歴史をも思わせる。体言止めにも余韻がある。

お泊りの孫は決まって我の床絵本読んでと夢の入り口       松 江 勝部 政子

  【評】絵本の世界に引き込まれながら眠りに入るお孫さん。おばあちゃんの布団の中 は夢の入り口なのだ。一首の調べも良く、「夢の入り口」の言葉があたたかい。 ...