当屋らを乗せた御船=松江市美保関町美保関、美保関港
当屋らを乗せた御船=松江市美保関町美保関、美保関港

 国譲り神話にちなんだ「青柴垣(あおふしがき)神事」が7日、松江市美保関町美保関の美保神社と美保関港であった。御船に載せる四神鉾(ししんぼこ)など祭器具を約200年ぶりに新調し、新型コロナウイルス禍以降に一部省略していた儀式も復活。厳かな神事を住民や観光客が見守った。

 

 神事は、美保神社の祭神コトシロヌシが、父神であるオオクニヌシに国譲りを決定した後、自ら海中に青い柴垣を作って隠れたという故事に由来する。

 前日から美保神社にこもり断食して臨んだ主役の「当屋」と氏子らが列をなし、港に着岸した「御船」に乗船。御船はサカキやのぼり旗で飾られ、航行は見送られたが、和太鼓や笛を載せた小舟が周回した。最後は神社に戻り、神事を締めくくった。

新調された二組の四神鉾が輝く

 神事で使う祭器具は、現在の神社の本殿が江戸時代に再建されて以来使ってきたが、装束や矛など13点のうち10点を新調。国の補助金など2500万円を充てた。

一番高価な鏡板。金箔が施され両面に描かれる

 東京都から訪れた大島利浩さん(62)は「一度テレビで見たことあったが、細かいしきたりがあるんだな」と感心した様子で見入っていた。

 (鹿島波子)