新たな拠点を設け、今後の活動方針を述べる大西健丞代表理事(右)=島根県海士町海士、町ヘリポート
新たな拠点を設け、今後の活動方針を述べる大西健丞代表理事(右)=島根県海士町海士、町ヘリポート

 国内外で被災地や難民支援を展開するNGO(非政府組織)「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ、広島県神石高原町)が16日、島根県海士町に支援拠点を設けるため、町と連携協定を結んだ。ヘリコプター1機と救命艇2隻を常駐させ災害時の支援や人材育成、地域振興に取り組む。 (鎌田剛)

 

 PWJは1996年に設立し、国内外の自然災害や紛争、貧困で苦しむ人たちを支援してきた。機動性を高めるため日本海側の拠点を探していた大西健丞代表理事が1年前に町内を視察。町による自立した町づくりやPWJへの理解が深かったことなどから交渉を重ね、設置が実現した。

 PWJはヘリ2機と固定翼機1機を運用しており、このうちヘリ1機(7人乗り)を町ヘリポートに常駐させる。高い山がなく、町の経度が日本海側での運用に適しているという。

 パイロット1人を常駐させ、町内に事務所を設置し職員を行き来させる予定。ヘリは災害支援のほか、転院搬送といった町民向けの医療支援にも活用する構想がある。救命艇は菱浦港に係留し、町内の渡船業者に運営委託する方針。

 16日は町ヘリポートで大西氏と大江和彦町長が、双方の関係者50人を集めて地域振興と災害支援の連携協定を締結した。締結を祝って隠岐民謡が披露され、町民100人超を前に双方の幹部が餅を投げた。

 大西氏は「海士町の魅力に引かれた。皆さんとヘリとともに島々を守っていきたい」と話した。