ピンク色の壁に赤いひさしと白い扉。かわいらしい外観の建物が兵庫県宝塚市の住宅街の一角にある。高次脳機能障害者のための作業所「珈琲焙煎(ばいせん)工房Hug(ハグ)」。ドアを開けると、いりたてのコーヒー豆の香ばしい匂いが漂う。

 事故や病気で脳が損傷を受け、認知機能や記憶に影響が出る高次脳機能障害。物覚えが悪い、集中できない、怒りっぽい、言葉が出てこない、こだわりが強いなど症状は人によってさまざまだ。

 施設長の八尾敬子(55)とスタッフ、通所者の計7...