戦後しばらくの間は、変化という言葉は希望に満ちていた。戦後初期には、自由や民主主義を確立していくという変化に、人々は希望を見いだしていく。

 1950年代終盤以降になると、経済発展、科学や技術の進歩、豊かな生活といったものに、人々は変化していく社会を感じていた。他方でその頃までは、社会主義的な理念を取り入れた社会をつくることによって、より自由で平等な世界を実現させようと考える人たちもいた。この人たちにとっても、変化させることは希望だったのである。

 ところが20世紀も終わりに近づくころになると、未来に明るい何かがあると感じられない人たちが生まれてくる。その先駆けになったのは、環境問題が意識されるようになったことだった。環境という視点から考えれば、私たちは明るい未来を手にすることはないのかもしれない。そんな感覚が、とりわけ若者たちの間に広がっていった。

 さらに日本のバブル経済が崩壊し、...