古井由吉さんについて個人的な思い出から書き出してみたい。まだ古井さんが立教大助教授時代、私が通う学校にもドイツ語を教えにきていた。そのテストの際、古井さんは文芸誌を数冊抱えてきて、テスト用紙を配り終わると文芸誌を読みふけっていた。私はしばしその姿に見入っていた...