ラスカルズのリードボーカルで、多くの楽曲を作ったフェリックス・キャヴァリエはグループ解散後、ソロとしていくつかのアルバムを残している。
そのうちの1枚、1994年発表の「ドリームス・イン・モーション」は、わがCDライブラリーに収まっている。当時たまたまラジオ(エフエム山陰)から流れてきた曲が耳を捉えた。ミディアムテンポの優しいメロディーにソウルフルな男性ボーカルが乗り、さびのゴスペル風コーラスが高揚感を生む。「ヤングブラッド」というその曲を歌っているのはフェリックス・キャヴァリエという歌手で、元ラスカルズという。ラスカルズは知っていたが、メンバーの名前までは知らなかった。確かに「グルーヴィン」のあの歌声である。売れっ子プロデューサー(当時)のドン・ウォズ(94年はボニー・レイットやローリング・ストーンズを手がけた)との共同プロデュースとあれば、ハズレはないだろう。買わない選択肢はない―となった次第。
約30年前の当時で既にラスカルズの全盛期から30年近くがたち、ソロとしても15年ぶりとなるアルバムだったが、艶のある歌声は衰えるどころか、磨きがかかった印象。「極上ボーカル・アルバム」というCDの宣伝文句も大げさではないと思える良質なアダルトコンテンポラリー作品だった。
収録曲には「グルーヴィン」を思い出させるメロディーの曲「ステイ・イン・ラヴ」などもあって往年のファンは思わずニヤリとするだろう。この曲や、アルバム最後を飾る「ヤングブラッド」でドラムをたたいているのはトトのジェフ・ポーカロ。92年に38歳の若さで急逝しているから、生前の演奏が没後に発表されたかたちだ。アルバムクレジットには「再び会うときまで」の言葉とともに、ジェフ・ポーカロへの謝辞が載っている。(洋)
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