16日午前5時半ごろ、島根県邑南町宇都井で70代男性がツキノワグマに襲われ、頭部と右目に重傷を負った。島根県によると、クマによる人的被害は県内では今年初。町では当面、児童生徒の登下校を教員が見守り、猟友会によるパトロールを実施する。
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町総務課によると、現場は町立羽須美中学校から北に約2・5キロ離れた旧JR三江線の宇都井駅近く。民家が建ち並ぶ山あいの地域で、男性は山に面する自宅の裏で襲われた。詳細な状況を聞けておらず、クマの体長などは不明という。
町内でクマによる人的被害が出るのは記録上では初めて。目撃例は2022年に14件、23年は6月15日までに10件ある。
町は役場内にクマ警戒本部を立ち上げ県と連携し、現場付近で捕獲用のおりを2基、監視カメラを4基設置した。警戒本部長の石橋良治町長は「特に早朝、夕方はクマが活動的になる。目撃した際は近づかず、必ず町に連絡をしてほしい」と話した。
人がクマに襲われる事案は県内では22年10月、浜田市内で発生して以来。この時は80代男性が自宅付近で襲われた。県は被害防止のため、山林では2人以上で行動すること、クマを見つけたら静かに立ち去ることを呼びかけている。
(吉野仁士)