全国植樹祭の式典を締めくくる大会宣言をした日野山大輔さん(30)=島根県立農林大学校林業科2年、広島市出身=は、漫画家になる目標を変え、林業への道を歩む。「森の良さ、木の良さが伝わり、山に関わる人が増えてほしい」との思いを胸に、これからも、木に森に向き合っていく。
高校卒業後、夢だった漫画家を志して上京し、アルバイトをしながら作品を描いていた。
子どもの頃は自然と触れ合う機会が少なく、山林への愛着も薄かった。それでも、祖父母の古里が島根県邑南町にあり、頭の片隅には島根の自然と関わりたいとの気持ちもあったという。
森林作業については「興味と関心の他には、何もなかった」という素人だったが、30代を前に道を決めたいと一念発起し、農林大学校の門をたたいた。2年目の今は、常に変化し、日々違う顔を見せ、思い通りにはいかない自然相手に働くことが楽しいと感じられるようになった。
卒業後は、島根県内の森林組合で働くという新たな目標ができた。
「一層の知識と技術の習得に努め、森林、林業、木材産業の未来を切り拓(ひら)く」
コロナ禍でマスク越しではあったが、自らに言い聞かせるように声を張った。
(錦織拓郎)