8日からの大雨で被害を受けた出雲市内で、被災者が浸水家屋の泥かきなどの作業に困惑している。被災住宅の中には高齢者のみの世帯もあり、重労働の作業が難しいためだ。12日は市総合ボランティアセンター(出雲市松寄下町)のボランティア派遣が始まり、必要な世帯からの要請を呼びかけている。
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市大社町杵築北の木造住宅。大雨で畳のすぐ下まで浸水した床板を上げると、泥の流入が確認された。
午前から市内外のボランティア6人がテレビや棚を撤去し、畳を上げて泥を取り出した。今後は床板を洗い、しばらく屋内の湿気を出して乾燥させ、盆明けに元に戻す。昼前の室内温度は26度と蒸し暑さが残る中、現場リーダーの井上曜子さん(61)は「時季が時季だけに熱中症が怖い。休憩をこまめに取りたい」と汗をぬぐった。
この家に独り暮らしの原節子さん(84)は9日から片付けを始めたが、力仕事が難しいと感じる中で地域の土木委員からセンターの紹介を受けた。「ここまでしてくれるとは思わなかった。頭を床にひっつけたいくらい」と感謝した。
市防災安全課によると、今回の浸水被害(10日時点)は住家だけで床上6件、床下30件で、2021年7月に2度あった豪雨の床上29件、床下249件と比べると少ない。21年7月には広くボランティアを募る「災害ボランティアセンター」を市などが特設。812人が53件の要請に対応したが、今回は被災が少ない状況から、市総合ボランティアセンター事業のみで対応することになった。
同センターによると、現時点で大社地区や猪目地区など6件から浸水家屋の作業や土砂の搬出依頼があり、多くが高齢者の世帯。家族がいる世帯でも、若い世代は平日仕事があるため作業できる日に限りがあるという。
浸水家屋は放置すると臭いやカビの発生にもつながり、早期の清掃、乾燥が求められる。センター運営委員会の岸幹人事務局長は「高齢者一人では難しい。そういう人に活動の情報が届くようにしたい」と利用を呼びかけた。
ボランティアの要請や参加の問い合わせは市総合ボランティアセンター、電話0853(21)5400。
(松本直也)













