ロシアのウクライナ侵略に直面し、日本と同じく国家安全保障戦略をまとめたドイツ。策定作業は曲折をたどり、大幅にずれ込んだ。「変身」へのためらいと桎梏(しっこく)。前回に続き、メルケル前首相の外交・安保政策首席補佐官を長く務め、現在はミュンヘン安保会議議長のクリストフ・ホイスゲン氏に聞く。 ―ロシアのウクライナ侵攻後、ドイツは完全に方向転換し「革命」を完遂したのか。

 「まだだ。前にも話した通り、ドイツ人のDNAには、ロシアに対する罪の意識や感謝の念が刻み込まれている。経済的つながりもある。全てを一夜にして消し去ることは極め...