「君、人殺したことあるよね?」。一時は迷宮入りがささやかれた“今市事件”こと栃木小1女児殺害事件。検事によるこの質問を皮切りに、計約3カ月間におよぶ殺人容疑での取り調べが始まった。対象は、警察がマークし、別事件で逮捕した男。男が捜査の様子をつづった「被疑者ノート」や公判証言などによると、取り調べは過酷を極めた。男の証言によると、取り調べ中に自殺未遂にも追い込まれたことも。後に有罪判決を下した裁判所さえ批判するほどだった。男は現在、獄中から冤罪を訴える。事件発生から20年、取り調べの実態を再検証した。(共同通信=武田惇志、片山歩)
▽食い違う証言
女児殺害事件の発生からおよそ8年後の2014年1月29日。台湾出身の勝又拓哉受刑者は、偽ブランド品を販売したとして、商標法違反容疑で現行犯逮捕された。...