記念誌の会報「こくふ文化」第10号
記念誌の会報「こくふ文化」第10号

 鳥取市国府町の国府文化協会(上山忠久会長、19人)が1964年の設立から60年目を迎え、記念誌を発行した。戦国武将・山中鹿介と町とのゆかり、2011年完成の殿ダム整備で消えた拾石(じっこく)集落の思い出などをつづった会員による原稿15編が興味深い。9月16日には鹿介をテーマに記念講演会も予定する。

 国府町は、因幡国守を務めた万葉歌人・大伴家持ゆかりの「万葉のふるさと」で、伝統芸能・因幡の傘踊りの発祥地。文化協会は、作家・岡田美子(1902~66年)らが設立した。

 記念誌は会報「こくふ文化」第10号でB5判、62ページ。会員による原稿をまとめており、上山会長(78)=鳥取市国府町宮下=の「国府町宮下の今昔物語」は戦国時代の1573年、国府町の甑山(こしきやま)に尼子氏再興を志す鹿介が陣取り、毛利方の鳥取城主・武田高信と戦った「鳥取のたのも崩れ」に触れる。宇倍神社は焼失し、江戸初期の1650年に再建されるまで社殿がなかったという。

 「拾石村のことーダムに埋もれた集落」(太田満明さん)は絵画に残る古里の風景をしのぶのが切ない。

 このほか記念誌は協会の歩みも振り返る。上山会長は「多くの先輩方の功績に感謝する。これからも『万葉のふるさと』の発信に努めたい」と話した。500部作り、関係者に配ったが残りがある。問い合わせは谷地区公民館、電話0857(24)1636。

 記念講演会は午後1時半から国府町コミュニティセンター(鳥取市国府町庁)で、安来市教育委員会文化課の舟木聡専門官が鹿介について話す。入場無料。 (桝井映志)