大田市最大の夏祭り「天領さん」が4日、久手町の会場を皮切りに4年ぶりに大田町、大森町の3会場で開かれる。市中心部の大田町で5日にある、そろいの衣装で歩きながら踊る伝統の「正調踊り」には多くの子どもたちが参加予定。活気ある大田の夏を心待ちにしながら練習に励んでいる。
「ふるさーとまーつり、よい、よい、よい」
2日夕、そろいの法被に身を包んだ、大田町の珠算教室「門田塾」に通う子どもたちが元気のいい声を出しながら、息を合わせて踊りの練習をする姿があった。大田第一中学3年の杉谷優衣さん(15)は「地域の行事に参加すると地域の伝統が分かると思う。一生懸命踊りたい」と意気込んだ。
天領さんは、1980年まで大田商工会議所が実施した商工祭と地域ごとの祭りを統合して81年に始まった。正調踊りは市連合婦人会が作り、当初は60~70団体が参加したという。
海沿いの久手会場は花火、大森会場は石見銀山の歴史に触れられる祭り。大田会場といえば正調踊りとして浸透したが、新型コロナウイルス禍の2020~22年は踊りが中止に。今夏復活を果たし、14団体500人超の参加が決まった。
大田幼稚園のPTAでは、園児に一つでも多く思い出を残してほしいといち早く参加を決めた。毎日のように園で練習するだけでは飽き足らず、家でも踊るなど園児は本番を待ちわびている様子。PTA会長の尾原智貴さん(34)は「みんなで頑張った達成感や一体感を味わってほしい」と期待を込める。
天領さんは4日夜、久手港周辺で7500発の花火が夜空を彩り、正調踊りは5日午後6時半から市民会館周辺で開催。大森会場では27日に縁日などがある。(曽田元気)