培養中の植物プランクトンを確認する飯野愛未さん(左)と野田美空さん(右)=松江市西生馬町、松江工業高等専門学校
培養中の植物プランクトンを確認する飯野愛未さん(左)と野田美空さん(右)=松江市西生馬町、松江工業高等専門学校

 微細なプラスチックごみ「マイクロプラスチック」が宍道湖特産のシジミにどう影響を及ぼすのか、松江工業高等専門学校(松江市西生馬町)の3年生2人が研究を始めた。砂抜きしていないシジミの体内やふんから見つかることがあるといい、味に影響があるのかを調べる。民間の支援事業に採択され、8月に成果を発表する。(中島諒)

 2人は環境・建設工学科の野田美空さん(17)と飯野愛未さん(17)。マイクロプラスチックはレジ袋などのプラごみが自然環境に流出し、細かく砕けて5ミリ以下になったもの。生物への悪影響が指摘されている。2人は、2年の時に授業で知って関心を持ち、松江市民になじみ深い宍道湖のシジミを使って調べることにした。

 マイクロプラスチックが付着したプランクトンを摂取するとシジミの体内で、うまみのもとになるアミノ酸の量がどう変わるかを調べる。世界的な環境問題と地域の特産品への関連を明らかにし、啓発に生かす。

 指導する同科の山口剛士准教授は「身近な食材を通じて世界全体の問題を考えることで2人の視野が大きく広がる」と期待する。

 今春から放課後の時間を使って取り組み、現在は植物プランクトンの培養を進めている。2人とも本格的な実験、研究は初めてで、培養やシジミの飼育に苦戦は続くものの「海のごみがシジミなどに与える影響をまとめて、ごみを捨てる人が少しでも減ればうれしい」と声を合わせる。

 海や水産、水環境に関する中学・高校生の研究を支援する「マリンチャレンジプログラム2021」(日本財団など主催)に応募して山陰両県で唯一、採択された。資金助成や専門家の指導を受ける。8月に全国5地区で成果発表会があり、選抜された15校が来年3月の全国大会に進む。