島根県邑南町矢上地区の伝統行事で、巨大な山車が目玉の「石見やまんば祭り」が14日、趣向を変えて4年ぶりに開催される。地区の若手が主体となり、山車ではなく、老若男女問わず手軽に参加できる仮装大会をメインに企画。新しい形の祭りを目指し、準備を進めている。
祭りは、地区で知られる人助けをする優しいやまんばの伝説にちなみ、地区内の5自治会が世相を反映した巨大な山車を製作し、出来栄えを競う。1979年からほぼ毎年開かれ、帰省した住民など延べ2千人以上が訪れる一大イベントとなっていた。
新型コロナウイルスの影響で2020年から3年連続で祭りが中止となったのを機に内容を見直すことにし、地区の10~30代が中心となり「みんなが楽しめる新しい祭り」を模索した。
その結果、今回は山車を製作する代わりに、先祖の霊を迎えるハロウィーンとお盆、やまんばに共通点を見いだし、仮装大会を企画した。
山車と同様に5自治会が仮装で競うほか、一般部門も設け広く参加者を募る。独創性や発想、見た目の印象強さなどで審査員と観客が評価し、入賞者には賞金を贈る。
9日は祭りの実行委員会や、司会を務める地元の矢上高校の生徒が集まり、「楽しい祭りにしよう」と全体の流れを確認した。西川有二委員長(65)は「地域の担い手となる若者が積極的に関わってくれてうれしい。どんな祭りになるか楽しみだ」と目を細めた。
祭りは午後6時20分に始まり、仮装大会は午後7時半からある。
(吉野仁士)