▽筒描藍染(出雲) 線一本に伝統の技
袖師窯(松江) 陶器のボタン
出雲の筒描(つつがき)藍染や松江の袖師窯がブランド服に-。全国各地の手仕事を反映させた服作りで知られる「matohu(まとう)」(東京都)が今年のテーマに選んだのは島根だった。松江市内であった展示販売会に並んだ作品は、この地に根付いた技術や自然の魅力を再認識させてくれた。 (山口春絵)
matohuはデザイナーの堀畑裕之さんと関口真希子さんが2005年に設立したブランドで、日本の歴史や文化、風土から生まれるデザインを発信する。
春夏コレクションでは出雲に焦点を当て、長田染工場(出雲市大津町)が唯一受け継ぐ「筒描藍染」の生地でシャツやブラウスを仕立てた。もち米の粉を用いたのりを和紙などで作る筒袋から絞り出して生地に文様を描き、天然のタデアイを発酵させた染液に浸し、柄を染め分ける技法だ。
のり作りから見学した堀畑さんは「全工程を見せてもらえることは珍しい。ごまかしのない、誠実な仕事をしていた。感動以外の何物でもない」と振り返った。
細い線が多数並ぶ縦じまのシャツは、筒描藍染の高い技術が要求された。線が細いほど、...