島根県の無形民俗文化財「津和野踊り」が15日夜、津和野町内であり、黒頭巾に白い鉢巻きという独特の衣装に身を包んだ約200人が、ゆったりとした調べに合わせて400年以上続く伝統の踊りを披露した。
1617年、亀井政矩(まさのり)が津和野藩主として入城した際に伝わったとされる。政矩の父・亀井茲矩(これのり)が敵の根城を攻略した時、衣装の下に武具を忍ばせた兵を城下に潜入させて踊らせ、敵将らが見物している隙に急襲して落城させたとの伝承がある。
津和野盆踊り保存会(山岡浩二会長、60人)が毎年披露し、誰でも参加できる。今年は雨のため同町後田の津和野体育館で開催。笛や太鼓、三味線が響く中、亀井家の家紋「四つ目結(ゆい)」があしらわれた白浴衣姿の踊り手たちが輪を作り、唄に合わせて鈴が縫い付けられた袖を揺らし「拝み手」や「つかみ投げ」といった所作を繰り返した。
広島県東広島市から初めて参加したインドネシア人の英語講師マヤ・アニーディタさん(33)は「とても楽しい。周りの人が踊りを教えてくれてうれしかった」と喜んでいた。
(中山竜一)