長野菊次郎の植物標本に見入る来場者=松江市西川津町、島根大学総合博物館アシカル
長野菊次郎の植物標本に見入る来場者=松江市西川津町、島根大学総合博物館アシカル

 NHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルの牧野富太郎(1862~1957年)と交流があった植物学者、長野菊次郎(1868~1919年)の植物標本を展示する企画展が、島根大総合博物館アシカル(松江市西川津町)で開かれている。朝ドラで関心が集まる中、明治期の標本をまとめて鑑賞できる貴重な機会となっている。9月2日まで、入場無料。

 長野は福岡県出身。教壇に立ちながら、北海道から鹿児島まで約2千種の植物標本を収集し、分布や形態を研究。昆虫学者としても業績を残した。牧野の発刊した植物雑誌に寄稿するなど交流があったという。

 島根大は1411点の長野のコレクションを保管。詳細は不明だが、長野と同郷で、旧制松江高校で植物学を教えていた古海正福(1888~1930年)が教育に活用するために譲り受けたとされる。

 展示会には、アサガオやササユリ、麻など50点が並ぶ。100年以上経過した今も保存状態が良く、標本技術の高さがうかがえる。スケッチにも定評があったことから、貼り付けの配置やバランスにも工夫が光る。

 夏休みを利用して栃木県から訪れた小学生の大橋孝泰君(9)は「100年以上前の植物がきれいに保存されていてすごい」と喜んでいた。

 開館時間は午前10時~午後5時。日曜は休み。(高見維吹)