島根県隠岐の島町出身でJリーグやタイで活躍した平野甲斐(かい)さん(36)=富山県=を招いたサッカー大会が26、27の両日、町内であった。平野さんは講演で、決して順風満帆ではなかったサッカー人生を振り返り、競技へ真剣に向き合うよう、子どもたちに熱血指導した。 (鎌田剛)
地元の西郷サッカークラブ(SC)関係者でつくる実行委員会が主催。大会は台風や新型コロナウイルスに阻まれて5年ぶりで、平野さんを招くのは初めて。西郷SCのほか、松江市の持田フットボールクラブ(FC)と竹矢FC、境港市の境港FCの小学生計65人が参加した。
27日の講演では平野さんが競技への思いを語った。相撲や野球が盛んな隠岐で当時異色のサッカーを志し、小学3年時に発足直後の西郷SCへ加わった。離島のため練習試合はなく公式戦は年3回のみ。「公園で一人、実況しながら練習した。イメージトレーニングが今の自分に生きている」と語り、中学で島を出てサンフレッチェくにびきFCに加わるため、両親を3カ月かけて説得したエピソードも明かした。
立正大淞南高校で厳しい練習に耐え、滋賀の大学を経て当時J2のカターレ富山に入団。3年間で成績は振るわなかったが再起を懸けてタイに渡り、2014年のアジアチャンピオンズリーグベスト8に貢献した。遅咲きの選手時代をかみしめ「夢をかなえるのに近道はない」と語りかけた。実技指導ではパス回しや守りで「練習のための練習はしない」と常に実戦を意識するよう助言。西郷小5年、佃雄貴君(11)は「練習を毎日続けることが大切だと思った」と話した。
大会はリーグ戦で、境港FCが優勝した。