9月に入っても暑い毎日。軽やかで涼しげなEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)サウンドで残暑を乗り切りたい。
まずは英国のシガーラ。アルバム「ブライター・デイズ」(2018年)は海に浮かんだ輪切りのオレンジのジャケットが見るからにトロピカルで、波音が聞こえてきそう。そのイメージ通りに、爽やかで陽気な曲が初っぱなから響く。フィーチャーするボーカルにはカイリー・ミノーグやメーガン・トレーナー、ザ・ヴァンプスなど有名どころも。最後の16曲目まで一気に聞かせる。

同じく英国のジョナス・ブルーのアルバム「ブルー」(同年)も清涼感のある曲が詰まった一枚。「ポラロイド」では元ワン・ダイレクションのリアム・ペインの歌声が聞ける。「ファースト・カー」はトレイシー・チャップマンの大ヒット曲(1988年)のカバー。80年代のフォークの名曲が軽快なダンスミュージックに生まれ変わった。

最後は7月末のフジロック・フェスティバルに出演した米国のグリフィン。母親が日本人というから親しみが湧く。アルバム「グラヴィティ」(2019年)はCDの帯に「美メロEDM界の超新星」とある通り、「美しく、エモすぎる楽曲連発」(これもCDの宣伝文句)の傑作。セカンドアルバム「アライヴ」(2022年)もグラヴィティに勝るとも劣らない作品だ。どちらのアルバムも粒ぞろいで、特定の曲を拾い上げることができない!

EDM界の多士済々なDJ/プロデューサーの中から選んだ、ひいきの3人。共通するのは曲のクオリティーの高さ。心地よいメロディー、心に深く染み入るメロディー、サウンドを次々と生み出してくれる。アルバムにはいわゆる「捨て曲」がなく、フィーチャーするボーカリストも曲ごとに変わるから飽きることがない。軽く聞き流してもいいし、じっくり耳を傾けてもいいのが良質なEDM。フェスに行けなくても、踊れなくても、楽しめる。(洋)