6日に鳥取市のヤマタスポーツパーク陸上競技場で行われた布勢スプリントで、男子100メートルの山県亮太が9秒95の日本新記録を樹立した。大会は新型コロナウイルスの影響で無観客で行われたが、けがを乗り越えての快挙に、関係者は喜びに沸いた。
観客席では両親が見守った。父の浩一さん(61)は、過去2シーズンは故障に苦しんできた息子の心境に思いをはせ「頭が真っ白になった。言葉にならないぐらいうれしい。うれしすぎて(逆に)涙が出ない」と感激の面持ちで声を震わせた。
山県の誕生日が時の記念日の6月10日であることを踏まえ「時の申し子」と表現。悲願の日本記録保持者となり「一番速いというもの(称号)をもらえたのはご褒美なのかなと思う」と話した。
日本人で初めて「10秒の壁」を破った元日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)もツイッターで「おめでとうございます」と祝福。現地で見ていた元日本記録保持者の朝原宣治さんは「なかなか恵まれなかった。やっと巡ってきた。五輪の決勝に進む可能性は十分」と期待を口にした。
山県が所属するセイコーホールディングスの服部真二会長も「いつかこの日が来ると信じていた」と表情を緩めた。